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日本ポーランド文化交流協会メールマガジン(2020年6月)



コロナ禍と「新たな日常」  山中 誠 当協会理事長

 新型コロナウイルスの感染拡大は、グローバルな広がりをもって深刻さを増しています。謎の多い病原体による正に「パンデミック」(世界的大流行)です。多くの人命や健康への損害はもとより、経済社会への打撃も想像を超えるものがあります。日本とポーランドも例外ではありません。甚大な影響を象徴する重大発表が両国で相次ぎました。日本では、今夏予定されていた東京五輪・パラリンピックの開催が明年に延期されました。全国高校野球は春夏とも中止となりました。ポーランドでは、10月に予定されていたショパン国際ピアノコンクールが明年に延期となりました。昨年から続いてきた両国の外交関係樹立百周年の記念行事も今年に入って中止や延期を余儀なくされました。このような災害時に真っ先に被害に遭うのはスポーツや文化芸術です。致し方ないこととは言え、悲しいことです。

 5月に入りこのウイルスへの各国の対応に変化が見られました。それまで厳しい外出禁止や都市封鎖を敷いてきた欧米アジアの諸国は、感染の再拡大や第二波に用心しながらも、徐々にではありますが行動制限を緩和して経済を再開する方向に舵を切ったのです。感染拡大防止と経済回復を両立させる新たな局面に入ったともいえます。日本もポーランドもこの変化の途上にあります。緊急事態宣言をすべての都道府県について解除した日本。外出制限などの各種規制を段階的に緩和しつつあるポーランド。これからは新型コロナウイルスの収束をにらみつつ、経済社会を動かしていく「新たな日常」が必要となる、こうした議論が盛んです。

 各国が感染拡大防止を最優先させた局面では、ともすると国境を閉ざして一国主義に閉じこもり、国際協力は二の次にされてしまいました。分断と孤立を深めていては、コロナウイルスとの戦いに勝てないばかりか、グローバル化が進んだ人々の暮らしを破壊しかねません。新しい局面では、ワクチン開発を進めるためにも、また、貿易投資を再活性化させるためにも、国境を超えた結束、国際協力が強く求められます。国際社会の資源と英知を結集してこそ「新たな日常」が成り立ちます。コロナ禍の国際場裏では火事場泥棒のような行動は許されませんし、対立と分断をあおるような行為は厳に慎むべきです。

 コロナ後の世界が如何なる姿になるか未だ全貌は見えてきません。新型コロナウイルス・パンデミックの経験と教訓を生かした「新たな日常」を創造し、実践していく必要があるでしょう。テレワーク、オンライン教育・医療などテクノロジー(ICT)が一層生活の中に浸透してくることは間違いありません。働き方改革も進むでしょう。首都への一極集中も是正され、地方都市が復興すると予想されます。キャッシュレス化も進むでしょう。人と人とのソーシャルディスタンス(社会的距離)も以前よりずっと余裕のあるものになるでしょう。もっとも、このような「新たな日常」においては、国と国との距離はより一層近く緊密になって国際協力が進むことが望まれます。
(2020年5月26日記)


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