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日本ポーランド文化交流協会メールマガジン(2019年12月)



「ポーランドと神戸大学 日本ポーランド国交樹立百周年に寄せて」

 2019年10月に神戸大学で「ポーランドウィーク」を開催しました。初めての試みでしたが、大学生を中心に500名ほどの参加 がありました。現在(2019年12月)、交換留学制度で2020年度に協定校へ派遣される希望者を募っていますが、ワルシャワ大学やヤゲウォ大学などポーランドへの志願者は例年の2〜3倍に増えました。学生にポーランドへの関心を持ってもらう、特に神戸大学の交換留学制度を活かしてポーランドで学んでもらう、という私の意図の一つは叶ったものとなりました。この流れをどう継続させるかが、今後の課題となります。

 私はポーランドの専門家ではありません。先のラグビーW杯で定着した便利な言葉を用いれば、ポーランドの「にわかファン」というべきでしょうか。オーストラリアに留学して、文化や知識の国際交流を歴史的に研究してきましたが、主な対象地域は、日本、東南アジア、そしてアメリカです。ポーランドと関わるようになったのは、神戸大学に赴任し、所属する学部でポーランドとの交流(主に交換留学生の送り出しと受け入れ)を担当することになったからです。現在は、学生の引率をふくめ、年に2-3回はポーランドを訪問しています。
 神戸大学は、長年にわたってヨーロッパとの関係を深めており、2005年に、欧州委員会の資金援助を受け、関西学院大学や大阪大学とともに「EUIJ関西」を設立しました。このコンソーシアムは、EU (欧州連合)に関する教育研究や文化活動を通じて日・EU関係の強化に貢献することを目的としています。また、2014年からEU(欧州連合)に関して専門的かつ学際的に学ぶことのできる「EUエキスパート人材養成プログラム(KUPES)」という学部横断的な学位プログラムを始めています。
 EUと神戸大学との制度的な連携の深まりは、旧東側諸国や旧ユーゴスラビアを構成していた国々によるEU加盟とほぼ同時期に進められました。神戸大学にも新しい加盟国との交流が期待されており、2010年に開設した神戸大学ブリュッセルオフィス (KUBEC) に続いて、2015年にはクラクフに「ポーランド拠点」を設置しました。現在はポーランドにある複数の協定校と恒常的に交流を行っています。私は2016年秋に、神戸大学で国際交流の先端に位置する国際文化学研究科(国際人間科学部・国際文化学部)に着任し、交流の輪に加わることとなりました。
 さて、「ポーランドウィーク」の実施を私が頭に描いたのは、ポーランド大使館で得た情報でした。大使館員から神奈川大学が2017年秋に「ポーランド週間」を行ったことを知らされ、関西でも開催してはどうかという提案を受けました。横濱専門学校を母体する神奈川大学は、神戸大学と同じく商業教育を源流とするもので、さらに略称も「神大」で同じです。「ジンダイ」の次は「シンダイ」だろうと、私はその場で神戸大学でもポーランド週間を行うことを決めました。神戸大学で開講されているいくつかの科目にゲスト講師を招き、一般公開としたうえでポーランドに関する講演をしてもらうという、という構想もその時にまとめました。この形式であれば、他の教育機関も(どの国や地域をテーマにしても)開催することができるでしょう。
 「ポーランドウィーク」をいつ開催するか、日本ポーランド国交樹立百周年にあたる2019年しかありません。計画を立てる過程で、神戸でポーランドフェスタが毎年10月に行われるほかに、神戸新聞とサンテレビがその年の10月に「ショパン展」を開催することを知りました。その二つをつなぐ一週間に「ポーランドウィーク」を行うことを決め、学内外での合意を取り付けるべく関係者と折衝しました。また、ポーランド大使館や政府観光局に講師を出してもらえるようにお願いをしました。  「ポーランドウィーク」を準備するにあたって、大学生や市民にポーランドへの理解を深めてもらう(旅行者や留学者を増やす)以外の意図が私にはありました。それは、阪神間を中心に関西で熱心に活動しているポーランドに関する団体との連携を深めること。それを通じて、「グローバル力」、あるいは具体的に「ポーランド力」とでもいうべき国際交流に関する地域資源の向上に神戸大学が寄与するということです。
 現在、観光(インバウンド)や外国人労働者(技能実習生)が代表的な事例ですが、日本社会でグローバルとローカルを直につなげる事柄が増えています。日本語を母語としない児童の教育や外国人観光客のはげしい増減(オーバーツーリズム)などは、ナショナル(政府)ではなく、ローカル(現場)が対応を求められるグローバルな課題となっています。そのような時代において、地方自治体だけでなく、国際交流を推し進める市民団体やNPOの役割は重要です。また、関西では、数多くある名誉領事館も世界への窓口として貴重な資源となると考えられます。
 今回の「ポーランドウィーク」では、幸いにも各地で国際交流を担っている団体と協働することができました。駐日ポーランド臨時代理大使の講演会では、兵庫県国際交流協会と共催することができ、今後の協力体制についての話も進みました。また、日本・ポーランド文化交流協会や在神戸ポーランド共和国名誉領事館、日本ポーランド協会関西センターにも協力していただきました。神戸大学で学ぶポーランド人学生を支援している日ポ・サロンには、ポーランドウィークの期間中に学長感謝状を贈呈することができました。これらの団体の長年にわたる活動がなければ、神戸大学でポーランドに関連するイベントを行うことは不可能だったでしょう。
 もちろん、地域における国際交流のネットワーク化は現在進行形で、課題もたくさんあります。これについては、日本とポーランドを行き来する教員や学生が絶えず存在するという神戸大学の特性を活かしながら、今後も時間をかけて取り組んでいくことになります。今回の「ポーランドウィーク」の経験は、国際交流のある方がどうあるべきか、その中で教育機関や文化施設はどのような役割を果たすべきか、について考えている私にとって、とても重要なものとなりました。あらためてご協力いただいた皆様に厚く御礼を申し上げるとともに、これをお読みの皆さまとの今後の交流を楽しみにしています。





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