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オンライン座談会「COVID-19下での日本滞在をふり返って」

開催日:2021年11月27日(土)
主催:日本ポーランド文化交流協会、ポーランド広報文化センター
(敬称略)
参加者:Klaudia Wawrzeszkiewicz, Marta Żukowska, Monika Pasternak, Aleksandra Czapigo
司会:Maria Żurawska(ポーランド広報文化センター)
顧問:辛島理人(神戸大学)、山中誠(日本ポーランド文化交流協会)

ポーランドから日本に留学、ワーキングホリデー、就職で来ていた(または現在も滞日)ポーランドの方々にざっくばらんにお話を聞き、感染症の影響下で困っていたことやその解決方法、またそれを踏まえて受け入れ機関や政府機関に期待することなどを伺いました。
山中日本ポーランド文化交流協会理事長は、冒頭挨拶の中で、日本では11月初めから留学生など海外からの入国者の受入れが再開され始めているところ、COVID-19で苦労をされた参加者の経験談や感想は今後の教訓とするために極めて重要であるので、率直な発言を期待していると述べました。

参加者紹介
・Klaudia Wawrzeszkiewicz(クラウディア・ヴァヴジェシュキェヴィチ)
 ワルシャワ大学東洋学部日本学科3年生。
 2020年10月〜2021年9月 学習院女子大学へ交換留学

・Monika Pasternak(モニカ・パステルナク)
 生物科学の博士課程在籍。
 2019年4月〜2020年6月 ワーキングホリデービザにより滞日。

・Marta Żukowska(マルタ・ジュコフスカ)
 ワルシャワ大学東洋学部日本学科修士1年生。
 2019年9月〜2020年8月 同志社大学へ交換留学

・Aleksandra Czapigo(アレクサンドラ・チャピゴ)
 ワルシャワ大学東洋学部日本学科卒業生(2021年9月卒業)
 姫路女学院にてALTとして働く。

発言要旨
Klaudia Wawrzeszkiewicz(クラウディア・ヴァヴジェシュキェヴィチ)
本来、2020年3月から留学予定だったところ、感染症の影響で査証(ビザ)が下りなくなってしまい、不安な毎日を半年間過ごした。急遽、秋の渡航が決まったが、日本語能力も不十分で入国に関して心配なことが多かった。国費留学生は、大使館から密に連絡が来ていたようだが交換留学生は後回しにされていた印象があった。日本に入ってからは、学習院女子大学の職員や学生たちが厚く支援をしてくれた。具体的には、入国後の体調チェックを日本の携帯で報告しなければならなかった時に、まだ日本の携帯が契約できなかったので代わりに報告をしてくれたことなど。
授業は基本的にすべてリモートだったのでやる気が保てない時期もあったが、春からは対面授業になってとても嬉しかった。一番大変だったのはワクチン接種関連。自治体の手続きは分かりづらく、また予約が全く取れなかった。友人が区役所へ電話してくれるなど大いに助けてくれた。接種後のワクチンパスポートは、日本のものがポーランドでは公証人翻訳が必要だったので非常に面倒だった。
Facebook上でReturn to Japan support groupというコミュニティがあり、そこでは日本の入国管理局からの情報や、経験者の投稿などが英語と日本語でシェアされていたのでとても助かった。
また、五輪期間中に高崎で、ポーランドの水泳選手団の通訳としてボランティアをしていたのは良い経験になったが、選手6名が出場資格を満たさないことが判明し、帰国になってしまったのは悲しかった。
総合的に、いつも日本の人々に助けていただきとても感謝しているし、楽しい思い出もたくさん残る滞在となった。


Monika Pasternak(モニカ・パステルナク)
本来、2020年4月に帰国予定だったものの、フライトが5回もキャンセルになってしまった。その間に、ワーキングホリデービザが切れてしまったのでビザなしの滞在(所謂「観光ビザ」)に切り替えた。Lot do domu(「家に帰ろう便」:通常路線の運航がなかった期間、ポーランド航空と在ポーランド日本大使館が協力して実現させた帰国するための特別便)も考えたが、自分が予約したフライトがあるので大丈夫だろうと思った。ところが、そのフライトもキャンセルとなり、次のLot do domuはとても高額だった。精神的にあの頃はつらかったが、友人たちが支えてくれた。
また、東京にある福田会が、日本ポーランド青少年協会を経由して、主に経済面で支援の手を差し伸べてくれたのがとても有難かった。
できればワーキングホリデービザを延長させてほしかった。制度上は1回に限り延長が可能だが、感染症の影響でそれが叶わず、そこから新しい制度を立てるのも大変だったのだと思う。
色々あったが、日本の国境が開けばすぐにでも日本に観光をしに行きたい。また、あと3年の学生生活が終われば、日本で就職したいとも考えている。


Marta Żukowska(マルタ・ジュコフスカ)
2020年4月の学期からは、ずっとリモートだったので、他の人と交流することができず辛くて、やる気を保つことが難しかった。部屋にこもっているのが嫌だったので、山登りを始めたところ、少し精神面で楽になった。また、アルバイトを見つけたが、始めて2か月で感染症の影響で続けられなくなってしまった。奨学金もなかったので、両親からの支援に頼っていたが、両親も収入が下がってしまい、経済的に苦しくなった。そこで、福田会から支援があったのはとても助かった。
帰国の際には、関西国際空港からワルシャワまでの便はキャンセルばかりだったので、プラハまでのフライトを予約し、両親にプラハまで車で迎えに来てもらった。フライトが見つかるのか、買える値段なのか、それがキャンセルにならないか、寮を退出する期日に間に合うか、不安なことがたくさんあった。
現在は国費留学生として再び日本にいる。入国は1か月遅れたが、入国に関する日本側の正しい情報発信が足りない印象を受けた。また、入国後の隔離のホテルは選ぶことができず、食事も含めて高額なホテルだったので自費で出していたら辛かっただろう。
前回の日本滞在中、駐日ポーランド大使館とは連絡がなかった。留学生は、大使館によって忘れられているようなイメージがある。


Aleksandra Czapigo(アレクサンドラ・チャピゴ)
2020年5月からリモート授業を導入。自分の担当する英語に関しては、ALTが授業のビデオを作って生徒たちに送るというスタイルだった。これにより、勤務時間が少し短くなったのでとくに辛い影響はなかったが、2020年4月に両親が日本に来る予定だったのだが、中止になったことは寂しかった。私もポーランドへ一時帰国したいが、日本の隔離期間がまだ長いので、有給休暇ではまかないきれず難しい。
昨年、引っ越しをして出費がかさんだので、日本政府からの10万円支給は助かった。


最後に(辛島先生より)
非常に勉強になる有意義な会であった。神戸大学にも、2年間、両国間での学生の行き来がない。ポーランドの情報をアップデートすることができず、また2年間オンライン授業をしていると、留学経験のない人が増えてくる。身近な先輩からの体験談が次の学生の意欲につながるので、この状況を心配している。
今回の参加者の皆さんには、ご自身の体験をぜひ周りに伝えていってほしい。大使館や公共機関からの情報同様、インフォーマルなFacebookグループなども時としてとても参考になることを改めて実感した。



ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
記録担当:ポーランド広報文化センター

議事録(PDF)データはこちらからダウンロードできます




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